術前心血管リスク評価の全体像
手術前の心臓リスクを3つの視点(手術リスク・患者側リスク・機能的予備能)で整理するための入門ガイドです。
要点まとめ
- 術前心臓リスク評価の目的は「手術を止める」ことではなく「リスクに見合った準備をする」こと。
- 評価は「手術のリスク」「患者側のリスク因子」「機能的予備能(FC)」の3視点をすべて組み合わせる。
- RCRI はリスク推定のツール。他の情報と組み合わせて追加評価・循環器科紹介の必要性を判断する。
このページを使う場面
リスク評価をどこから始めればよいか迷ったとき。手術前に患者のリスク全体像を整理したいとき。
3つの視点すべてを確認して、リスクの全体像をつかむ
結論
追加評価が必要かどうかを判断するために、手術リスク・患者側リスク因子・機能的予備能(FC)の3視点をすべて確認する。どれか一つが欠けると、リスクを見落としやすい。
周術期の主要心臓イベント(MACE)のリスクは、手術の種類だけでも患者の状態だけでも決まらない。3要素の組み合わせが、患者ごとのリスクプロファイルを形成する。
- ① 手術リスク:低リスク(眼科・皮膚)、中〜高リスク(腹腔内・大血管)で分類する
- ② 患者側リスク因子:RCRI、既往歴(IHD・心不全・弁膜症)、検査値(BNP)
- ③ 機能的予備能(FC):4 METs を基準に、日常活動から評価する
リスクを定量化することで、適切な準備ができる
結論
リスクを可視化することで、術前最適化・循環器科紹介・周術期モニタリング計画の必要性を判断できる。低リスクなら標準的な準備で進める。高リスクなら最適化・紹介・計画修正を検討する。
評価の目的は「手術を止めること」ではない。リスクを定量化することで、準備の内容が変わる。RCRI スコアはその定量化のツールとして機能するが、単独の判断根拠にはならない。
- ① RCRI スコアを算出し、リスク区分を確認する
- ② FC が 4 METs 未満の場合、その背景(心疾患 vs 非心疾患要因)を評価する
- ③ 高リスクの場合、循環器科への紹介と周術期管理計画の見直しを検討する
この判断の根拠
JCS 2022「非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン」/ ACC/AHA 2014 Guideline on Perioperative Cardiovascular Evaluation and Management of Patients Undergoing Noncardiac Surgery