METs と DASI:機能的予備能をどう評価するか
日常活動から心臓の予備能を推定する METs と、より構造化された DASI スコアの考え方を整理します。
要点まとめ
- 4 METs 以上の活動(階段昇降・速歩など)が維持できるかどうかが、術前評価の重要な分岐点。
- 自己申告の活動能力は過大評価されやすいため、具体的な活動内容と制限パターンを掘り下げて確認する。
- DASI(Duke Activity Status Index)は12項目の問診票で METs を推定する、より再現性の高い評価法。
このページを使う場面
FC 評価の結果が曖昧で、客観的な裏付けが欲しいとき。「歩けている」だけでは判断できないと感じたとき。
4 METs 未満の活動能力は、心臓予備能の低下として評価する
結論
4 METs 未満と評価された場合、心臓予備能の低下として扱い、追加評価を検討する。「歩けている」という印象だけでは、活動能力を評価したことにならない。
代謝当量(METs)は、安静時の酸素消費量(3.5 mL/kg/min)を 1 として活動負荷を相対値で示す指標。1階分の階段昇降・速歩は約 4 METs に相当する。この閾値を維持できない患者では、術中・術後の心臓負荷に対する余裕が限られている可能性がある。
- ① 階段・坂道・速歩などの具体的な日常活動を確認する
- ② 活動制限が出る状況(息切れ・胸痛・疲労感)の詳細を掘り下げる
- ③ 4 METs 未満と判断したら、BNP 測定と心機能評価の必要性を検討する
活動能力の評価は、客観的な裏付けとともに行う
結論
患者の自己申告をそのまま採用せず、具体的な活動内容と制限パターンを確認する。DASI スコアは主観的 METs より再現性が高い評価法として有用。
「散歩している」という自己申告だけでは FC を評価したことにならない。坂を避ける・階段で立ち止まる——このような行動変容が、潜在的な活動制限のシグナルになる。DASI(Duke Activity Status Index)は12項目の構造化問診で METs 推定値を算出し、主観的評価より信頼性が高いとされている。
- ① 「坂道を登れるか」「荷物を持って階段を昇れるか」など具体的な動作で確認する
- ② 活動回避パターン(遠回り・エレベーター使用など)を意識的に掘り下げる
- ③ DASI を用いて構造化した評価を行うことを検討する
この判断の根拠
ACC/AHA 2014 Guideline on Perioperative Cardiovascular Evaluation(functional capacity assessment section)/ METS trial, Lancet 2018(DASI vs subjective METs in predicting outcomes)