大動脈弁狭窄と周術期判断
重症 AS がある患者の非心臓手術における術前評価の考え方と、多職種連携のポイントを整理します。
要点まとめ
- 重症 AS(AVA < 1.0 cm²)が確認されたら、術前に循環器科へ紹介し、多職種で方針を共有する。
- LVEF が保たれていても、重症 AS は麻酔中の心拍出量維持に影響する独立したリスクとなりうる。
- 症状がある重症 AS では、弁置換(TAVI/SAVR)の適応を評価してから非心臓手術の時期を決定する。
このページを使う場面
術前エコーで重症 AS が指摘されたとき。LVEF が保たれていても手術を進めてよいか判断に迷ったとき。
重症 AS があれば、術前に循環器科への紹介を検討する
結論
重症 AS(AVA < 1.0 cm²)が確認された場合、非心臓手術の前に循環器科へ紹介し、術前管理方針を多職種で共同決定する。
重症 AS では、麻酔・外科侵襲に対して心拍出量を維持できないリスクがある。低血圧・心不全のリスクが高く、LVEF が保たれていても重症 AS は独立した周術期リスクになりうる。非心臓手術の前にリスクを共有・最適化することが重要。
- ① 弁口面積(AVA)・最大流速(Vmax)・平均圧較差の最新値を確認する
- ② 症状(息切れ・胸痛・失神)の有無と重症度を評価する
- ③ 循環器科への紹介と、麻酔科・外科を交えた多職種での方針確認を行う
息切れ・胸痛・失神がある重症 AS では、非心臓手術の前に弁置換評価を先行させる
結論
症状ある重症 AS では、弁置換(TAVI / SAVR)の適応を評価してから、非心臓手術の時期を決定する。
重症 AS における3徴候(息切れ・胸痛・失神)は、弁置換適応の判断指標。弁置換の適応がある場合、非心臓手術を先行させるよりも弁置換後に手術を行う方が安全なケースがある。時間的余裕のある待機手術では、この評価を先行させることを検討する。
- ① TAVI / SAVR の適応評価が行われているか確認する
- ② 弁置換の適応がある場合、非心臓手術の時期を後ろにずらすことを心臓外科・循環器科と相談する
- ③ 麻酔科・外科・循環器科・心臓外科で方針を共有する
この判断の根拠
ACC/AHA 2021 Guideline for the Management of Patients With Valvular Heart Disease / ESC 2022「非心臓手術における心血管評価と管理ガイドライン」/ JCS/JSEC 2020「弁膜症治療のガイドライン」