周術期気道管理
気道リスクを症例ベースで読み解く臨床推論ハブ。困難気道の予測因子・換気と誤嚥のリスク・導入戦略・救済プラン・抜管の安全性を統合する。
このページの使い方
- 1.リスクシグナルを読む — 挿管困難の予測因子・マスク換気リスク・誤嚥リスク・救済の可否は、それぞれ意味が異なる。
- 2.臨床的な意味を理解する — 予測因子の陽性は診断ではなく計画のトリガー。重要なのは酸素化の予備能とバックアップ換気戦略。
- 3.プランを変える — 導入前・救済計画・抜管時に、それぞれ何を変えるべきかを判断する。
このページと併用するツール
気道リスクから始める
換気・酸素化のリスク
誤嚥リスクと導入戦略
導入と救済の計画
抜管と術後の気道管理
症例で考える
肥満・Mallampati IV・頸部可動域制限
喉頭展開困難とマスク換気困難の予測因子が複数。導入前にプランをどう変えるべきか?
放射線治療後の頸部手術:失敗が許されないとき
喉頭展開失敗とマスク換気失敗が同時に起こりうる、解剖が歪んだ気道。導入前に失敗を想定して計画する。
安静時の喘鳴と喉頭腫瘍
内腔はすでに危機的に狭い。導入が、内腔を保っている最後の気道トーンを奪いうる理由を学ぶ症例。
満腹と予測困難気道:RSI かアウェイク戦略か?
誤嚥リスク単独では導入プランは決まらない。満腹リスクと予測挿管困難が重なるとき、プランは2つのリスク次元を統合しなければならない。
PACU での抜管後気道閉塞:気道の判断は終わっていない
挿管の成功で気道リスクは終わらない。抜管と PACU モニタリングは気道プランの一部——特に再挿管が困難になりうるとき。
基礎の全体像
Level 1 — 基本を押さえる
医学生・研修医
LEMON とは?
LEMON は、挿管前に「この気道、難しそうか?」をざっくり見極めるためのフレームワークです。
スコアではありません。考え方の型です。
L — Look(見た目)
まずは見た目を確認します:
- 顔面異常
- 肥満
- ひげ
- 短頸
- 歯の状態
マスク換気や喉頭展開がやりにくくなるヒントになります。
E — Evaluate(3-3-2 ルール)
スペースを指で計ります:
- 口が開くか(指3本)
- 顎下スペース(指3本)
- 喉頭の位置(指2本)
スペースが狭い = 器具が入りにくい。
M — Mallampati
口の中の見え方を確認します。Class III / IV は要注意:
- 声門が見えにくい可能性がある
- 喉頭展開が困難になりやすい
O — Obstruction(閉塞)
以下のような病態がないか確認します:
- 腫瘍
- 浮腫
- 感染
これは一発でハイリスク。換気も挿管も両方危なくなる可能性があります。
N — Neck mobility(頸部可動性)
首が動くか確認します。動かないと3つの軸が揃わない:
- 口腔軸
- 咽頭軸
- 喉頭軸
軸が揃わないと、声門の視野が出ない。
LEMON の読み方
1つの異常だけでは決まらない。リスクが上がるのは:
- 複数の異常が重なるとき
- 閉塞など、重大な所見があるとき
臨床での意味
LEMON は「挿管できるかどうか」を決めるものではない。「どう準備するか?」を考えるためのツール。
まとめ
LEMON = 予測ツールではない。準備のためのツール。