大量出血後の低MA / clot stiffness低下
大量出血後のclot strength低下は、血小板の寄与、フィブリノゲンの寄与、希釈、生理学的条件、または複合病態を反映しうる。治療を選ぶ前に構成要素を分けて考える。
症例提示
59歳女性。肝切除中に肝静脈損傷を起こし、急速な出血を認めた。外科的止血が部分的に得られた後も、びまん性出血が続いている。晶質液、赤血球、血漿、自己血回収を使用している。体温35.1℃、pH 7.24、イオン化カルシウム低値、血小板数6.8万/µL、フィブリノゲン低値。TEGではMA低値とfunctional fibrinogen contribution低下を認める。
チームから「これは主に血小板の問題か」と相談された。
考える順序
- 大量出血では複合的な凝固障害が生じることを認識する。
- 低MA / clot stiffness低下を、血小板数そのものではなくclot strengthの所見として解釈する。
- 血小板の寄与とフィブリノゲンの寄与を分ける。
- 製剤が効果を発揮しにくくなる生理学的条件を補正する。
- 標的を絞った補充後に再評価する。
- 外科的止血を引き続き確認する。
A. なぜ大量出血では解釈が変わるか
- 希釈、消費、低体温、アシドーシス、低カルシウム、出血継続が短時間で変化する。
- 1回のVET所見はその時点のスナップショットである。
- 外科的止血と凝固補正を並行して進める必要がある。
B. 低MA / clot stiffness低下は何を示すか
- clot strength低下を示す。
- 血小板の寄与、フィブリノゲンの寄与、または両者を反映しうる。
- 血小板数だけと単純に同一視しない。
C. functional fibrinogen contribution低下が加わる意味
- フィブリンの寄与も不十分である。
- フィブリノゲンが制限因子であれば、血小板補充だけではclot strengthが十分に戻らないことがある。
- 大量出血ではフィブリノゲンと血小板の複合的な低下が多い。
clot strength低下は多くの場合、複合的な所見である
大量出血後の低MAはclot strengthを示すのであって、血小板数を示すのではない。パターンが実際に支持する補充を決める前に、血小板とフィブリノゲンの寄与を分け、生理学的条件を補正する。
D. 行動の枠組み
- 外科的止血が十分か、または改善しているか確認する。
- 体温、pH、カルシウム、希釈を補正する。
- VETパターンと標準検査を使って、フィブリノゲンと血小板の寄与を分ける。
- パターンと施設プロトコルに基づき、フィブリノゲン補充、血小板補充、または両方を検討する。
- 補充後にclot strengthと実際の出血を再評価する。
E. 見逃してはいけない点
- 外科的出血が続くと希釈が進み続ける。
- 低カルシウムやアシドーシスが残ると製剤効果が出にくい。
- 血小板数だけではclot qualityを説明できない。
Take-home message
大量出血後のclot strength低下は、多くの場合、複合的な所見である。次の介入を決める前に、フィブリノゲンの寄与、血小板の寄与、生理学的条件、外科的止血を分けて考える。
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